HOME > 福祉救援ボランティアマニュアル > 被災地の住民が行うボランティア活動のために:被災地のボランティア活動とは
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災害が起きた直後に被災地の住民が行うボランティア活動は二つあります。一つ目は人命救助や初期消火など近隣の助け合いです。二つ目は交通網の寸断、ガス、電気、飲料水などの供給や物流が断たれた状況下で、デマに惑わされず秩序ある生活を維持する活動です。地震など災害が起きた直後に被災地の住民が自宅または勤務先周辺で行う活動には次のものがあります。
地震災害などの場合、その規模が大きければ大きいほど、同時に火災が発生し、ケガ人の数も多くなります。このような事態では、消防などの対応にも限界が生じ、いくら消防車や救急車を待っていても来てもらえない可能性があります。ですから、消防車や救急車の到着をあてにするだけではなく、適切な火災予防と初期消火、ケガ人の救出(*1)や避難誘導に当たることが大切です。
しかし、倒壊家屋の下敷になったり、土砂崩れで生き埋めになっている被災者の人命救助は専門性や重い責任を伴います。また、救助に向かった人が二次災害に巻き込まれる可能性もあることから、住民による救助活動は自ずと限界があるのも確かです。
ここでいう住民による救助活動は、家屋の損壊が少なく、家具や電化製品の下敷になったり、割れたガラスを踏んで避難ができない人などの救助を主にいい、体に障害があったり、病弱な方の避難誘導などを含むものです。つまり、燃え盛る炎に飛込み、危険を侵してまで救助に向かって下さいという意味ではなく、身の安全を確保しながら、できる範囲で身近な人から助けていくということです。
*1 阪神・淡路大地震の際の調査によれば、損壊した建物から救出された人の多くは、近所の人に助けられたということです。近所の住民によって2時間以内に救出された人は、神戸市で55%、西宮市で87%などとなっています。(廣井修「阪神・淡路大震災に見る住民活動」東京ボランティアセンター研究年報`94-`95、P3、1996年)
避難所の暮らしは、プライバシーを守ることが難しい集団生活です。取るものもとりあえず避難した場合は、食糧や飲み水を分け合うことになります。衣類や赤ちゃんのオムツ、トイレットペーパーの果てまで足りないものばかりです。
しばらく洗濯や入浴ができない状況の中で、ストレスが高まり、体調を崩す人もでてきます。そこで大事になることは、病弱者や妊婦、子供、高齢者などに配慮した避難所内の使い方を工夫することです。食糧配分やゴミ処理など共同生活の秩序をつくることです。これは避難所の自治ということにつながりますが、これを行うのは世話役となる住民のボランティアです。
また、精神的ショック(*2)の大きい人々の集団生活となることから、お互いが辛さや悲しみを共有し、励まし合いながら秩序を保っていかなければなりません。
電気、ガス、水道などのライフラインが復旧しない状態で自宅で窮乏生活を続ける人もあります。この様なとき、隣近所で声をかけあい、付近の住民が置かれている状況を把握し、必要な支援を求めていく活動が大事です。黙っていては、だれにも気づかれず、問題が無いものとして見過ごされます。通常の生活に回復するまでは、地域の中で食糧や水を融通し合うなどの助け合いが大切です。この場合も近所に声をかけて回る世話役のボランティアが必要になります。
岩手県などを襲った災害
*2 災害によるショックや悲しみ、辛さは、個々の人間が心の底にしまって我慢すべきものではありません。心の傷みや悲哀が表に開放されない場合、後に病的な精神症状が表われる恐れがあり、生活再建に向けた意欲を見出すことができなくなります。
それぞれの災害の体験を話し合ったり、亡くなった方の供養を被災者自身が手作りで行うなどの活動が、徐々に災害のショックを和らげることになります。
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